ピアノ学習を続けていると、必ずといっていいほど名前を耳にするのが「ブルグミュラー」です。
やさしく美しいメロディと、多様な表現力を身につけられることが魅力とされていますが、「クラシック曲だから難しそう」「本当に弾けるようになるの?」と不安になる人もいるかもしれません。
本記事では、「ブルグミュラー」の概要やメリット・デメリット、効果的な練習方法などをわかりやすく解説します。
ピアノ教本「ブルグミュラー」とは?

ブルグミュラーの歴史と概要
ブルグミュラーは、19世紀に活躍したドイツの作曲家、ヨハン・フリードリッヒ・フランツ・ブルグミュラーによるピアノ練習曲です。
特に有名なのは「25の練習曲」で、以下のような特徴があります。
- 全25曲の練習曲から構成
- それぞれの曲に題名があり、イメージをつかみやすい
- バイエル修了後や初中級レベルのピアノ学習者に最適
「メロディがきれい」「表現力が養える」といった理由から、クラシックの初級~中級レベルで頻繁に取り上げられています。
ブルグミュラーはなぜ有名?

表現力を高める曲が多い
一曲一曲が情景的で、美しいメロディラインを持っています。演奏者はストーリーをイメージしながら弾くことで、自然に表現力を身につけることができます。
技術面と音楽性のバランスが良い
バイエルやツェルニーほど「練習曲」という堅苦しさがなく、演奏効果が高い曲が多いのも魅力。
教育現場で定番
音楽教室や学校教育でも使われることが多く、講師からの信頼もある安心のピアノ教本です。
ブルグミュラーの特徴

メリット
◯ 美しいメロディと題名が魅力
「アラベスク」「天使の合唱」「優美」など、曲には印象的なタイトルがついており、音のイメージを捉えやすくなっています。
◯ 表現力とテクニックを同時に磨ける
右手のメロディ、左手の伴奏の動き、ペダリングなど、基礎的な技術だけでなく、曲の歌い方・表情づけを学びやすい構成です。
◯ 初心者から中級者へのステップアップに最適
バイエルが終了した段階から取り組むことが多く、「もっときれいに弾きたい」と思わせてくれる曲調がモチベーションにつながります。
デメリット
◻︎ 練習曲にしては曲調がやや難しく感じる場合がある
美しいメロディや表現力が要求されるため、ただ音を並べるだけだと物足りなさを感じることがあります。
◻︎ 曲によっては指の運びが複雑
初級者にとっては、手が広がりやすい箇所やスケールの上下移動がやや大変と感じることもあります。
◻︎ 練習曲なのでリズム・和音の理解が浅いと苦戦する
「表現力」を強く意識する分、基礎的なリズム・和音の構成を把握していないとスムーズに弾けない曲もあります。
ブルグミュラーの効果的な学習方法
ブルグミュラーの学習方法について、練習のコツとモチベーションを維持する方法をまとめました。
練習のコツ

◯ 曲のイメージを明確にする
題名からイメージを広げ、どんな情景や感情を表現したいのかを明確にすることで、メリハリのある演奏ができます。
◯ フレーズごとに区切って練習する
一曲が適度な長さなので、Aメロ・Bメロのように区切って練習すると効率的です。
・右手メロディ、左手伴奏を別々に練習
・フレーズ単位でテンポをゆっくり → 徐々に上げる
◯ 強弱を意識する
ブルグミュラーの曲は強弱記号や表情記号が細やかにつけられています。楽譜に書かれた指示を守るだけでなく、音の響きをよく聴きながら弾くことで立体的な演奏を目指しましょう。
モチベーションを維持するポイント

◯ お気に入りの曲から始める
25の練習曲の中でも「アラベスク」「優美」「バラード」など、気に入った曲を優先して取り組むと楽しみながら練習できます。
◯ 仕上がった曲を定期的に録音する
完成度の確認だけでなく、後から聴き比べることで自分の成長に気づきやすくなります。練習モチベーションも高まります。
◯ レパートリーを増やす目標を立てる
「今月は3曲仕上げる」「半年以内に10曲マスターする」など、曲数で目標を設定しておくと練習が継続しやすいです。
ブルグミュラー以外のピアノ教本との比較
バーナム

難易度・学習段階:導入~初級
主な特徴
棒人間イラストを交えた短い小曲で、楽しみながらメロディやリズムの基礎を学べる
どんな人におすすめ?
バイエルやブルグミュラーを始める前にウォーミングアップとして取り入れると、指の独立や動きをスムーズに習得しやすい
バイエル

難易度・学習段階:初心者向け
主な特徴
・ピアノを始めるうえでの基礎力を体系的に学べる
・シンプルな曲が多く、音符の読み方や指使いを固めるのに最適
どんな人におすすめ?
・ピアノ未経験者、独学で始める人
・クラシック音楽の土台をしっかり身につけたい人
ハノン

難易度・学習段階:基礎を学ぶ初心者から上級者まで幅広く活用可能
主な特徴
・スケールやアルペジオなどの繰り返しパターンで指の運動能力を集中的に強化
・メロディ要素がほとんどないため、ウォーミングアップや苦手テクニックの補強に最適
どんな人におすすめ?
・指の独立性や運動能力を高めたい人
・これから先の練習曲(ツェルニーやインヴェンション等)に向けて、基礎テクニックを安定させたい人
ツェルニー

難易度・学習段階:初級~上級まで幅広い(30番、40番、50番など段階による)
主な特徴
・指の独立性や高度なテクニックを効果的に習得できる
・曲の面白さよりも練習要素が強め
どんな人におすすめ?
・テクニックを徹底的に鍛えたい人
・速いパッセージやスケール、連打を克服したい人
インヴェンション(バッハ)

難易度・学習段階:ブルグミュラーやツェルニー30番の後~中級以上
主な特徴
・バロック音楽特有の多声部(2声、3声)を学ぶ練習曲
・両手を独立して動かすため、高度な演奏技術が身につく
どんな人におすすめ?
・ポリフォニーに慣れ、より立体的な演奏を追求したい人
・クラシック音楽の深い表現力を身につけたい人
ソナチネアルバム

難易度・学習段階:ツェルニー30番やインヴェンションと並行~中級
主な特徴
・ハイドンやモーツァルトなど古典派のソナチネを収録
・ソナタ形式の基礎を学ぶことで曲の構成理解が深まる
どんな人におすすめ?
・古典派のエッセンスを学び、上級クラシックに進みたい人
・曲の構成や音楽理論をより深く学習したい人
学習の流れの一例

- バーナム(導入~初級):棒人間のイラストで楽しく基礎を習得
- バイエル:ピアノの基礎(音符・リズム・指使いなど)を習得
- ハノン:指の独立性や運動能力を高めるエクササイズ
- ブルグミュラー:美しい曲を通して表現力と基本テクニックをレベルアップ
- ツェルニー(30番程度):指のスピードや独立性を強化し、より高度なテクニックを身につける
- インヴェンション(バッハ):多声部の動きやバロック特有の表現方法を習得
- ソナチネアルバム:古典派の曲構成を理解し、中級~上級へステップアップ
もちろん学習者の目的やレッスン方針によって順序は変わります。
ポピュラー音楽を並行して学ぶ方も多いですので、柔軟に学習プランを立ててください。
ブルグミュラーの次のステップ:中級者以降の学習プラン

ブルグミュラー修了後におすすめの教本・楽曲
◯ ツェルニー
ブルグミュラーで身につけた表現力に、より高度な指のテクニックをプラス。30番や40番を選ぶことで、確実にレベルアップが望めます。
◯ インヴェンション(バッハ)
ポリフォニーの練習を通じて、音を聴き分ける力や左右の手の独立性を高め、より繊細な表現が可能になります。
◯ ソナチネ
クラシックの定番曲に挑戦し、ソナタ形式の基礎を理解することで、ベートーヴェンなどの大きな曲へスムーズに進めます。
レッスンやオンライン学習との併用
◯ ピアノ教室でのレッスン
指導者がいることで、表現やタッチの細かな修正がスムーズに行えます。モチベーション維持にも役立ちます。
◯ オンラインレッスン
自宅にいながらも、リアルタイムで講師に指導を受けられる便利な学習方法。忙しい方や遠方の方でも続けやすいのがメリットです。
まとめ:ピアノ教本「ブルグミュラー」の上手な活用方法
ピアノ教本「ブルグミュラー」は、やさしく美しいメロディや多彩な表情を通して、表現力と基礎テクニックの両方をバランスよく学べる練習曲集です。
バイエルから一段ステップアップし、演奏する楽しみを味わいながら確実にレベルを上げたい方におすすめです。
- メリット:美しい曲を通じて表現力が自然と身に付く
- デメリット:表現を意識しすぎると基礎練習が疎かになりがち
- 効果的な練習方法:曲のイメージを固め、フレーズ単位で繰り返し練習
- 次のステップ:ツェルニーやインヴェンション、ソナチネなどと並行・継続して練習すると実力を総合的に伸ばせる
ブルグミュラーの曲をマスターしていく過程で、楽譜の読み方やリズム感、ペダルの使い方など、さまざまな演奏技術が身についていきます。
演奏を録音して聴き返す、レッスンでフィードバックをもらうなど、工夫をしながらぜひ楽しんで学習を続けてください。