ピアノを始めたいと思ったとき、数ある教本の中からどれを選べばよいか迷う人は多いと思います。

本記事では、初心者から中級・上級へとステップアップする過程で定番となっているピアノ教本「バーナム」「バイエル」「ブルグミュラー」「ツェルニー」「ハノン」「インヴェンション」「ソナチネアルバム」の7つをピックアップしました。

それぞれの特徴や学習方法を理解し、あなたに合った教本を見つける参考にしてください。

バーナム

バーナム ピアノ 教本 amazon

難易度・学習段階:導入~初級

主な特徴
・棒人間イラストを交えた短い小曲で、楽しみながらメロディやリズムの基礎を学べる
・1曲が短く、達成感を味わいやすい構成
・子どもだけでなく、簡単な導入をやり直したい大人にも活用可能

メリット
・視覚的な楽しさでモチベーションが続きやすい
・曲が短く、忙しいときでもサクッと練習できる
・指導者にも使いやすい工夫が多く、レッスン前のウォーミングアップにも最適

デメリット
・上達が早い人や大人には物足りなさを感じる場合も
・音楽理論や表現力の深い部分を学ぶには不十分
・子ども向けのイラストなので、大人向けとしては好みが分かれる

効果的な学習方法

1回の練習で複数曲
短い曲をサラッと繰り返して飽きずに習得

イラストの動きをイメージ
棒人間キャラが示す指の動きを想像して、ピアノの基礎をしっかり身につける

ゆっくり正確に
リズムや音の正確さを重視して基礎力アップ

モチベーション維持のコツ
小さなステップを目標に設定し、他の曲やポップスと並行して進める

バイエル

バイエル ピアノ 教本

難易度・学習段階:完全初心者~初級

主な特徴
・全106曲からなる段階的な練習曲集
・音符の読み方、リズム、指使いなどピアノの土台をしっかり固められる
・長い歴史があり、多くの教育現場で採用されている

メリット
・初心者が無理なくステップアップできる
・クラシック音楽への入り口として定番

デメリット
・曲調がやや古い印象で、単調に感じる場合がある
・好きな曲を弾けるようになるまで時間がかかる

効果的な学習方法

手の形や指番号を意識する
フォームを正しく身につけることが後々の上達を左右します

片手ずつの分解練習
両手合わせる前に、メロディやリズムをしっかり把握

ゆっくりしたテンポから始める
正確さを重視し、徐々にテンポを上げる

モチベーション維持のコツ
小さな目標を設定し、録音や短時間練習を積み重ねて達成感を得る

ブルグミュラー

ブルグミュラー ピアノ 教本

難易度・学習段階:バイエル修了後~初級~中級手前

主な特徴
・「25の練習曲」が代表的
・美しいメロディや表情豊かな曲が多く、表現力を育てやすい
・曲ごとにタイトルがあり、イメージを膨らませながら演奏できる

メリット
・楽曲として楽しみながら基礎テクニックを向上
・音楽性や表現力を重視して学べる

デメリット
・曲によっては指やリズムが複雑で、最初は苦戦することも
・練習曲としての要素が強く、しっかり表情をつけないと単調に感じる場合あり

効果的な学習方法

曲のイメージを明確に
タイトルから情景を思い浮かべ、曲の表情をつける

フレーズ単位で区切る
メロディラインを丁寧に理解し、少しずつテンポを上げる

ダイナミクスを意識
楽譜だけでなく、音の響きを聴きながら強弱をコントロール

ツェルニー

ツェルニーピアノ教本

難易度・学習段階:初級~上級(100番、30番、40番、50番など)

主な特徴
・指の独立性や高速パッセージ、連打などテクニックを重点的に鍛える練習曲
・段階的に難易度を上げられるので、計画的にレベルアップしやすい

メリット
・クラシック全般に通じる技術を安定して習得できる
・指の運動能力が高まり、曲の演奏がスムーズになる

デメリット
・曲としては単調に感じるものが多く、飽きやすい場合がある
・全曲仕上げるには長い時間が必要

効果的な学習方法

スローテンポから正確に
速く弾くよりも正確さを重視し、部分練習を繰り返す

メトロノームを活用
リズムの乱れを防ぎ、徐々にスピードアップ

他の曲と並行して練習
単調にならないよう、ブルグミュラーやポップスなどと組み合わせる

ハノン

ハノン ピアノ 教本

難易度・学習段階:初級~上級まで幅広く活用可能

主な特徴
・短いエクササイズが多数収録された、指の運動能力を集中的に高める教本
・スケールやアルペジオ、連打の基礎を効果的に習得

メリット
・ウォーミングアップに最適
・指の独立性や連続運動を身につけやすい
・他の教本と並行して使い、テクニック面を底上げできる

デメリット
・メロディ要素がなく、単調なパターン練習が飽きにつながりやすい
・無理なテンポアップや長時間練習は手首・指の負担に注意

効果的な学習方法

ゆっくり正確に始める
正しいフォームと運指が大切

苦手パターンを重点的に反復
部分練習で効率よく克服

短時間から習慣化
1~2分のウォーミングアップでも効果的

インヴェンション(バッハ)

バッハ インヴェンション ピアノ 教本

難易度・学習段階:ブルグミュラーやツェルニー30番の後~中級以上

主な特徴
・バッハが作曲した2声・3声の多声音楽を学ぶ練習曲(インヴェンション&シンフォニア)
・左右の手を独立して動かす高度なテクニックが必要

メリット
・ポリフォニックな表現力が身につき、クラシック演奏の深みが増す
・音楽理論や対位法への理解も深まる

デメリット
・声部の重なりが複雑で、初心者には取り組みにくい
・曲の魅力を掴むには慣れが必要

効果的な学習方法

声部ごとに分解練習
片手ずつ、さらには2声・3声を別々に理解し組み合わせる

ゆっくりテンポで重なりを確認
誤差やズレを防ぐ

アーティキュレーションを丁寧に
強弱やスタッカートなど、表情づけを工夫

ソナチネアルバム

ソナチネアルバム ピアノ 教本

難易度・学習段階:ツェルニー30番やインヴェンションと並行~中級

主な特徴
・古典派(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなど)のソナチネを収録
・ソナタ形式(提示部・展開部・再現部)の基礎を学べる

メリット
・曲の構成を把握する力が身につき、大曲(ソナタ)へのステップアップに最適
・発表会などで演奏しやすい美しく華やかな曲が多い

デメリット
・楽章数が多く、一曲仕上げに時間がかかる
・テンポや強弱記号に幅があり、表現に迷うことがある

効果的な学習方法

楽章ごとに目標を設定
第1楽章→第2楽章…と段階的に取り組む

ソナタ形式を理解
主題や展開部の変化を理論面から把握すると流れがつかみやすい

左手のアルベルティ・バスを安定させる
伴奏パターンを丁寧に弾き、右手メロディを際立たせる

学習の流れの一例

ピアノ 教本 学習の流れ
学習例
  1. バーナム(導入):棒人間イラストで楽しくメロディやリズムを習得
  2. バイエル:音符の読み方・リズム・指使いの基礎を体系的に身につける
  3. ハノン(並行学習OK):指の運動能力を集中強化し、他の曲を弾きやすくする
  4. ブルグミュラー:メロディを楽しみながら、表現力とテクニックをレベルアップ
  5. ツェルニー(30番・40番など):指の独立性や高速パッセージをさらに鍛え、演奏技術を底上げ
  6. インヴェンション(バッハ):多声音楽の理解、左右の手の独立、理論を深める
  7. ソナチネアルバム:古典派のソナタ形式を学び、中級~上級へのステップに

以上はあくまで一例ですが、一般的な流れを示しています。

個人の好みや目標に合わせて前後・並行学習が可能です。

まとめ:自分に合った教本でピアノを楽しもう

いずれの教本にも得意とする分野や学習テーマが異なります。

自分の現在のレベルや興味、目標に合わせて、組み合わせながら学習を進めると効率的です。

まとめ
  • バーナム:短い曲と視覚的なイラストで導入にぴったり
  • バイエル:完全初心者に最適。基礎力をしっかり固められる
  • ブルグミュラー:曲の美しさや表現力を楽しみながらステップアップ
  • ツェルニー:テクニック強化に特化し、指の独立や高速パッセージを習得
  • ハノン:指の運動能力や独立性を集中的に鍛えるエクササイズ集
  • インヴェンション(バッハ):多声部の理解と表現力、音楽理論を深める
  • ソナチネアルバム:古典派ソナタ形式を学び、中級者への大きなステップ

ぜひ今回のまとめを参考に、自分に合った教本と練習方法を見つけてみてください。

無理なく継続しながら、豊かなピアノライフを楽しんでいきましょう。