「大人になってからピアノを始めてみたけれど、忙しくて続かない…」「思うように上達しなくて、もう辞めようかな…」。
大人のピアノ学習者のなかには、こんな悩みを抱えている人が少なくありません。実際、大人からピアノを始めた人の挫折率の方が子どもより高いとも言われています。
この記事では、大人がピアノを辞めてしまう主な理由と、挫折を防ぐためのポイントをご紹介します。ピアノを続けるかどうか迷っている方の参考になれば幸いです。
大人がピアノを辞める理由トップ10
1. 忙しくて練習時間が確保できない
仕事や家事・育児、その他の趣味や習い事など、大人は限られた時間のなかで多くのタスクをこなす必要があります。
とくにまとまった練習時間が取れないことでモチベーションが下がり、辞めるケースが多いようです。
- 短時間の集中練習:1日15分~30分でも、スキマ時間を活用して質の高い練習をする
- 練習時間を可視化:カレンダーやアプリを使い、練習した時間を記録してモチベーションアップ
- 習慣化:朝起きてすぐや帰宅後すぐなど、一定の時間帯に練習を入れる
2. 上達の伸び悩みとモチベーション低下
大人になると、子どもに比べて「新しいことを習得するスピードが遅い」と感じがちです。
また、楽譜の読み方や指の動かし方など基礎練習が必要で、思うように弾けないもどかしさから挫折することが多いようです。
- 小さな目標設定:難易度の低い曲から始めて、1曲弾ける楽しみを味わう
- 録音・録画して見る:自分の演奏をチェックし、上達度を見える化してみましょう
- 練習方法の見直し:自分にあった練習方法や曲選びをする
3. 楽譜が読めない(譜読みが苦手)
楽譜を読むのに時間がかかり、「曲を弾く楽しさ」よりも楽譜を読むストレスが先行してしまう方がいます。
大人になってからピアノを始める場合、子どもの頃に比べて譜読みのハードルが高く感じられる場合も多くあるのです。
- ゆっくり読譜の練習をする:いきなり難しい曲に挑戦せず、簡単な曲で譜読みの基礎を身につける
- 音名を書き込む、指番号を整理する:最初は遠回りでも、自分が混乱しないように譜面をカスタマイズ
- ノーツ動画や音ゲーアプリを活用する:楽譜なしでも弾けるノーツ動画やアプリを活用する
4. レッスン費のコスト問題
ピアノのレッスンを受ける場合、毎月のレッスン料金と他の出費とのバランスを考えると「コスト面で負担が大きい」と感じることも…。
- 独学で費用ゼロ:上手く独学ができれば、費用をかけずに続けることができます
- アプリ教材:アプリ教材でピアノを学べば、低価格で独学を進めることができます
- オンラインレッスン:移動時間や交通費を抑えられ、レッスン料金も比較的安い
5. レッスンのペースや先生との相性
ピアノレッスンを始めてみたものの、「先生と合わない」「レッスンが厳しくて楽しくない」などでモチベーションが下がり、辞めてしまうケースもよくあります。
特に大人は自分のペースや学びたい方向性が明確なだけに、「自分にあった先生」選びは非常に重要です。
- 体験レッスンの活用:複数の先生や教室で体験し、先生の指導方針と合うかをチェック
- 要望をはっきり伝える:好きなジャンルや目標、練習頻度などを先生に明確に伝える
- オンラインレッスンや動画学習:よりご自身に合ったスタイルが見つかるかもしれません
6. 騒音トラブルへの不安
電子ピアノではなく生ピアノの場合、ピアノの音が大きく響いてしまうのが難点です。
マンションやアパートなどの集合住宅にお住まいの方は、練習による騒音トラブルを心配して思い切り弾けない、という問題もあります。
- 夜間の練習用に電子ピアノを導入:ヘッドホンを使って練習ができ、騒音を軽減
- 防音室・防音マットの活用:集合住宅向けの防音・防振グッズを取り入れる
- 近隣への事前挨拶:練習時間や曜日を伝えるなど、コミュニケーションを大切にする
7. 他の趣味や仕事が優先になった
ピアノを始めた当初は楽しくても、他の趣味や急な仕事の繁忙期など、「優先度が変わってしまう」ことで徐々にピアノから離れてしまうパターンもあります。
時間も気力も他に取られてしまい、フェードアウトしてしまうことがあるんです。
- 目標曲を決める:弾きたい曲や発表の機会を決めると、モチベーションが維持しやすいです
- 仲間づくり:SNSやサークルでピアノ友達をつくり、情報交換や励まし合いをする
- 期間限定で優先度アップ:忙しい時期を過ぎたら、再度“ピアノ優先”の期間を決める
8. 気持ちの切り替えがうまくいかない
忙しい大人は、仕事や家事・育児の疲れから「ピアノに向き合う精神的な余裕がない」ということも。
趣味として楽しむはずがストレスになってしまい、辞めてしまうケースも珍しくありません。
- 気分転換のひとつとして捉える:ピアノを「練習」ではなく「リラックスの時間」と考えてみる
- 無理なく弾けるレパートリーを増やす:簡単な曲や好きな曲でストレスなく弾ける環境をつくる
- 休む勇気も必要:疲れが溜まっている時は思い切って休み、元気になったら再開する
9. 練習曲がつまらない
ピアノは上手くなりたい気持ちはあるけど、ハノンやバイエルといった練習曲が中心だと退屈に感じることもあると思います。
もしくは、自分が弾きたい曲と課題曲がかけ離れていても、続かない原因の一つになります。
- 好きな曲を取り入れる:ポップスやアニメ音楽、映画音楽など、興味のあるジャンルを練習に混ぜる
- アレンジバージョンを探す:弾きたい曲が難しければ、簡単アレンジ版で楽しむ
- 練習曲の意味を理解する:ハノンやバイエルも、指や読譜力を鍛える“裏テーマ”があります。目的を意識して取り組みましょう。
10. ピアノを弾く目的を見失う
なんとなく始めただけで、最初のモチベーションが続かなかったり、「何のために練習しているのか…」と疑問を抱いてしまうことがあります。
- 発表の場や目標を設定する:発表会や友人とのセッション、SNSへの演奏投稿など具体的なゴールを作る
- 自分なりの楽しみ方を見つける:ストレス発散やリラックス、脳トレなど、続ける理由は人それぞれ
- 目的を気にしない:音楽は本来、モチベーションを持って頑張るものではなく、楽しいからするものです。純粋に音楽を楽しみましょう!
それでもピアノを辞めようと感じたら?考えておきたいポイント
1. 「辞める」ではなく「休む」にする
「本当に辞めたいのか、ただ一時的にやる気が落ちているだけなのか」を見極めることが大切です。
一定期間(1か月~数か月)お休みして、気持ちが変わるかどうか試してみましょう。
2. 新たな目標や学び方を模索する
- 演奏動画サイトやSNSに投稿する:目標を明確化し、達成感を得やすくなる
- 人前で弾く機会を作る:発表会や演奏イベントに参加すると、モチベーションが高まる
- ジャンルを変えてみる:クラシック以外にも、ポップスやジャズ、伴奏など多彩な楽しみ方がある
3. 自分の性格やライフスタイルに合った続け方を見つける
「レッスン形式が合わない」「長時間の練習が負担」など、大人のライフスタイルに合わない点があるなら、オンラインレッスンや独学などに切り替えてみるのも一つです。
気軽に取り組める環境に変えることで、続けやすくなるかもしれません。
まとめ
大人のピアノ学習は、仕事や家庭との両立やコスト面、練習時間の確保など、多くのハードルがあります。
でも、ピアノは日々の生活に音楽の癒しや喜びを与えてくれるとても良い趣味だと思います。
もし「辞めようかな…」と思ったら、いきなりピアノを手放すのではなく、上記の10の理由と対策を見直していただけると嬉しいです。