スタッカート(Staccato) とは、音と音の間をはっきり区切って演奏する奏法のひとつです。
イタリア語の “staccare(切り離す)” が語源で、文字通り「短く切って演奏する」という特徴があります。
- 語源:イタリア語で「切り離す」
- 特徴:音を短く、はっきりと区切ることで、躍動感を与えます
スタッカートの記号・楽譜上の表記
楽譜上でスタッカートを示す場合は、音符の上(または下)に短い「・(ドット)」を付けるのが基本です。
たとえば四分音符の上にドットがあると、その音を短く切るように指示されているという意味になります。
また、より短く鋭い音を求める場合には「スタッカティッシモ(staccatissimo)」の記号(▼形やくさび形)を使うことがありますが、一般的にはドットのスタッカート記号が最も多く使用されています。
おすすめ記事
スタッカートの弾き方:初心者向けステップ
1.音符の長さを意識する
スタッカートの最大のポイントは「音を短く切る」ことです。通常の音符よりも、発音してすぐに離鍵(指を離す)して、音の伸びを抑えます。
メトロノームを利用して、どのタイミングで鍵盤を離すかを明確に意識しながら練習すると、リズムが崩れにくくなります。
2.タッチのコントロールを学ぶ
指先や手首の動きで音を短く切るため、タッチが重すぎると余計な音が伸びてしまいがちです。
軽い打鍵とすばやい離鍵を組み合わせることで、はっきりとした短い音が得られます。
初心者のうちは手首が固くならないように気をつけ、腕全体をリラックスさせて小さな動きで鍵盤を押し、すぐ離す感覚をつかむようにしましょう。
3.テンポを段階的に上げる
スタッカートはリズムがはっきり見えるため、速いテンポで弾こうとすると粒がそろわず、音が雑になりやすいです。
まずは遅めのテンポで、1音1音を均等に短く切って弾く練習を行い、徐々にテンポを上げていきましょう。テンポを上げても音がつながってしまわないよう、注意して練習してください。
中級~上級者向け:スタッカートを弾くポイント
強弱の変化をつける
すべてのスタッカートを同じ強さで弾いていると、単調に聞こえる場合があります。
部分的にアクセントを加えたり、クレッシェンドやディミヌエンドの流れの中でスタッカートを入れたりすると、音の立ち上がりが際立って華やかな印象を作れます。
レガートとの対比を生かす
連続してスタッカートを弾くのも良いですが、同じフレーズの中にレガート(滑らかに音をつなげる)を混ぜることで、よりメリハリのある演奏が可能です。
特にメロディラインの一部をレガートで弾き、伴奏や装飾音をスタッカートで弾くなど、対比をうまく使うと表現力が高まります。
曲全体の役割を考慮する
スタッカートが映える場面は、リズミカルなパッセージや軽快な舞曲風の楽曲などが挙げられます。
一方、ロマンティックなバラードなどでは、スタッカートが多すぎると繊細な雰囲気を損ねることもあります。
楽曲のジャンルや作曲者の意図を考慮しながら、どこでスタッカートを生かすかを判断しましょう。
よくある質問(Q&A)
Q. スタッカートでも音量はしっかり出したいです。方法はありますか?
手首をやや柔らかく保ちつつ、指先で鍵盤を叩くようなイメージを持つと、短い音でも十分なボリュームを確保しやすくなります。
Q. スタッカートとピアノペダル(ダンパーペダル)は一緒に使えますか?
ペダルを踏むと音が伸びるため、スタッカートの効果が薄れる場合があります。ただし、一瞬だけペダルに頼って次の音に移行するテクニックもありますので、曲に応じて使い分けるとよいでしょう。
まとめ
スタッカート(Staccato) は、音を短く切り離して演奏することで、リズミカルで生き生きとした表現をする奏法です。
ぜひ今回のポイントを参考に、練習に取り入れてみてください。