90年代J-POPの響きを作り出すのが小室進行です。
vi–IV–V–Iの4小節をループさせるだけで高揚感と切なさが同時に生まれ、サビやアウトロが劇的に盛り上がります。
小室進行をマスターして、“90’sサウンド”を現代風にアレンジしましょう。
小室進行とは?
小室進行はvi–IV–V–I(キー=C なら Am→F→G→C)という 4 小節のコードパターンです。
1990年代に流行したシンセ&ダンス系ポップスで多用されたためこの名で呼ばれますが、形式自体はクラシック期のパッセージにも見られる普遍的な進行です。
- キー=C のコード:Am → F → G → C
- 数字表記:Ⅵm → Ⅳ → Ⅴ → Ⅰ
- 響き:高揚感・ノスタルジー・“泣きメロ”
ピアノで小室進行を覚えるメリット

ベースが「ラ→ファ→ソ→ド」と動くことで降下感と上昇感が交互に現れ、サビやアウトロが劇的に盛り上がります。
短い 4 小節で完結するため、作曲や伴奏づけの即戦力として最適です。
- 伴奏の即戦力:右手メロディー+左手コードだけで迫力のポップス伴奏に
- 作曲のテンプレート:メロディーを載せ替えるだけで曲が完成
- 耳コピ速度アップ:「Ⅵm→Ⅳ」の響きで一瞬で判別できる
コード構造を定着させる 3 ステップ

① ベースを歌う
「ラ–ファ–ソ–ド」と声に出して覚える。
② 左手ベース+右手ブロック
左右分担で 4 小節ループ。
③ 転回形で滑らかに
右手コードを最小移動の転回形へ。
ピアノ演奏テクニック

小室進行はサビで繰り返されることが多いため、リズム変化やテンションノートで彩りを加えると単調さを防げます。
- 16分アルペジオ:右手 1-5-3-5 形で疾走感を演出。
- 裏拍アクセント:左手ベースを 2・4 拍裏に入れてダンス系グルーヴ。
- テンション追加:Am に 9th、F に 11th、G に 13th を重ねて厚みアップ。
クラシック曲での参考ポイント

リスト「愛の夢 第3番」
中間部で Ⅵm→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ に近い進行が登場。
モーツァルト「ピアノソナタ K.545」第2楽章
サブドミナント→ドミナントの流れが小室進行と同種の感情曲線を描く。
シューベルト「セレナード」
Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ へ滑らかな解決を見せる部分を分析すると転回形の参考に。
5 日で身に付く練習メニュー

Day 1 – 左手ルート+右手ブロックで 70 BPM ループ
Day 2 – 右手を 8 分→16 分アルペジオ化
Day 3 – テンションノートを足してサウンド拡張
Day 4 – シンコペーションを入れリズムを多彩に
Day 5 – D・E・F# など他キーへ移調し 12 key 征服
応用アイデア

Ⅵm → Ⅵ7 に置換してブルージーに。
Ⅳ → Ⅳm へモーダルインターチェンジで哀愁倍増。
8ビート→ハーフタイム でサビ後のブレイク感を演出。
よくある質問

Q. 小室進行と王道進行の違いは?
A. 小室進行は Ⅵm→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ、王道進行は Ⅳ→Ⅴ→Ⅲm→Ⅵm。前者はマイナー始まりで切なさが強く、後者はメジャー始まりで爽快感が際立ちます。
Q. ルート音が跳ぶのが難しい…
A. 左手をオクターブで弾かず、単音+ダンパーペダルで響きを保ち、手の移動を最小限にしましょう。
Q. バラードに合うアレンジ法は?
A. テンポを 60–70 BPM に落とし、右手アルペジオを 1-5-3-5-9-5 の 6 音パターンにすると情感豊かになります。
まとめ
小室進行のを習得すれば、4 小節で劇的な盛り上がりを作る演奏が手に入ります。
キー=C で原型を完コピ → 転回形・テンション・リズムの 3 方向で変化付け → 全調へ展開、というステップで実践的なスキルを身につけましょう。