「子犬のワルツ」は、ショパンの愛犬が自分の尻尾を追ってぐるぐる回る様子を、即興で曲にしたといわれています。
軽やかに聴こえますが、実際に弾いてみると見た目よりずっと難しい曲です。この記事では、難易度のレベル、他のショパン作品との比較、練習テンポの目安(♩=80から160へ)までまとめました。
子犬のワルツとは?
ショパン作曲の「子犬のワルツ(原題:Valse du petit chien)」は、軽快で華やかな旋律が特徴のピアノ曲です。
正式名称は「ワルツ 第6番 変ニ長調 Op.64-1」で、1847年に作曲されました。
まるで子犬が元気に駆け回る様子を表現したような曲で、多くのピアニストや音楽ファンに愛されています。
子犬のワルツの難易度は?【中級~上級レベル】
子犬のワルツは、一見軽やかで簡単そうに聴こえますが、実際は難し目というギャップがあります。
- レベル:中級~上級
- 使用される音域:広い
- テンポ:Presto(きわめて速く)/♩=160前後
- 左右の手の独立性:非常に重要
- 指の俊敏性とコントロール力が必要
目安としては、ブルグミュラー25番を終えて、ソナチネアルバムに入ったあたりから手が届き始めます。ただし「音を並べられる」のと「聴かせられる速さで弾ける」のとでは、必要な力がかなり違います。
他のショパン作品と比べると?
ショパンの中では易しめの部類に入ります。ただし「ショパンとしては易しい」であって、絶対的に易しいわけではありません。
| 曲 | 難易度の位置づけ |
|---|---|
| ノクターン 第2番 Op.9-2 | 中級。ショパン入門の定番 |
| ワルツ 第10番 Op.69-2 | 中級。ゆっくりで取り組みやすい |
| 子犬のワルツ Op.64-1 | 中級〜上級。速さが最大の壁 |
| 幻想即興曲 Op.66 | 上級。左右のリズム違いが難所 |
| 華麗なる大円舞曲 Op.18 | 上級。曲が長く体力もいる |
| 革命のエチュード Op.10-12 | 上級。左手の負担が大きい |
ショパン作品全体の難易度は、こちらでランキング形式にまとめています。
難しいポイント

1.右手の細かく速い動き
16分音符が連続し、テンポが速いため、粒をそろえて弾くには高度な技術が求められます。
2.左手のワルツ伴奏の安定性
3拍子のリズムを保ちつつ、右手とのバランスを取るのが難しいです。
3.表現力とペダルワーク
テクニックだけでなく、繊細な表現やペダルのコントロールも要求されます。
この3つはどれも、テンポを上げた瞬間にまとめて崩れます。だからこそ、テンポの管理がこの曲の練習の中心になります。
「1分で弾く曲」という誤解
子犬のワルツは英語で Minute Waltz と呼ばれます。ここから「1分で弾ききる曲」だと思われがちですが、そうではありません。
実際の演奏時間は、多くのピアニストで1分30秒〜2分ほどです。1分に押し込もうとすると、音の粒がつぶれて曲の魅力が消えてしまいます。
速さを競う曲ではなく、速い動きの中で音を粒立たせる曲だと考えてください。
練習テンポの目安とメトロノーム
この曲でいちばん多い失敗が、最初から速く弾こうとすることです。弾けない速さで練習すると、間違えた指の動きをそのまま覚えてしまいます。
| 段階 | テンポの目安 | やること |
|---|---|---|
| 第1段階 | ♩=80 | 片手ずつ。指使いを確定させる |
| 第2段階 | ♩=100 | 両手で通す。止まらないことを優先 |
| 第3段階 | ♩=120 | 難所だけ取り出して集中的に |
| 第4段階 | ♩=140 | 強弱とペダルを入れる |
| 仕上げ | ♩=160前後 | 本来のテンポ。粒がそろっているか確認 |
下のメトロノームで「曲から選ぶ」を開き、「子犬のワルツ」を押すと、テンポ(♩=80)と拍子(4分の3)が一度に入ります。無料で、登録もダウンロードも要りません。
※音が出ない場合は、消音モードを解除して読み込み直してください。
テンポを上げるのは、その速さで最後まで通せてからです。上げ幅は1回につき10〜20くらい。上げてつまずいたら、迷わず元に戻してください。
子犬のワルツの効果的な練習方法【段階別】

【ステップ1】テンポを落として練習
初めは半分以下のテンポで、リズムと指使いを正確に確認しながら練習しましょう。上の表の♩=80から始めるのが目安です。特に右手の速いパッセージは、メトロノームを使って少しずつテンポアップしていくのが効果的です。
【ステップ2】片手ずつ丁寧に
いきなり両手で弾こうとせず、片手ずつの反復練習が上達への近道です。
- 右手:音の粒をそろえる練習
- 左手:ワルツ伴奏のリズムを安定させる
両手で崩れるときは、片手ずつメトロノームに合わせてみてください。どちらの手がテンポを乱しているかがはっきりします。この曲では左手の伴奏が走りがちです。
【ステップ3】難所だけ切り出して練習
特に指がもつれやすい部分(高音部のトリルやアルペジオ)を小節単位で繰り返し練習します。曲全体を何度も通すより、その数小節だけを取り出すほうが早く直ります。
【ステップ4】録音して自分の演奏をチェック
自分の演奏を録音して聴き返すことで、音のバランスやテンポの乱れなど、客観的に改善点を把握できます。特にこの曲は後半になるほど速くなりがちなので、録音するとよく分かります。
練習に役立つツール・教材

・無料オンラインメトロノーム
→ 一定のテンポを保つ練習に。子犬のワルツのテンポが登録済みです。
・子犬のワルツの無料楽譜
→ PDFで無料ダウンロードできます。印刷して譜面台に置けます。
・YouTubeのスローテンポ演奏動画
→ 手元の動きが見やすい解説動画を活用しましょう。
・バーチャルピアノ
→ 楽器が手元にないときに、音や指使いを確かめられます。

よくある質問

Q. 子犬のワルツの難易度はどれくらい?
A. 中級〜上級です。ショパンの中では易しめですが、♩=160前後という速さが最大の壁になります。音を並べるだけなら中級で届きますが、聴かせられる速さで弾くには上級の技術が要ります。
Q. 子犬のワルツはどれくらいの練習期間で弾ける?
A. 中級者であれば、1〜3ヶ月程度で通して弾けるようになる人が多いです。ただし、表現力を含めた完成度の高い演奏には半年以上かかることもあります。
Q. 初心者でも弾けますか?
A. 正直に言うと、まったくの初心者には厳しい曲です。ブルグミュラー25番を終えたあたりが目安になります。ショパンから入りたい場合は、ノクターン第2番やワルツ第10番のほうが取り組みやすいです。
Q. 本当に1分で弾く曲なの?
A. いいえ。Minute Waltz という呼び名からそう思われがちですが、実際の演奏は1分30秒〜2分ほどです。1分に押し込むと音の粒がつぶれます。
Q. 練習はどのテンポから始めればいい?
A. ♩=80が目安です。ただし正解は「最後まで間違えずに弾ける速さ」なので、遅く感じても構いません。上のメトロノームで「子犬のワルツ」を選ぶと、そのテンポが入ります。
Q. どうしても速く弾けません
A. 曲全体を速くしようとせず、転ぶ数小節だけを取り出してください。多くの場合、遅れているのは手そのものではなく、次の音の準備です。片手ずつメトロノームに合わせると、原因の手が特定できます。
Q. 子犬のワルツは発表会やコンクールに向いてる?
A. はい、とてもおすすめです。華やかでインパクトがあり、技術・表現力のアピールに適しています。演奏時間が2分程度と短めなのも扱いやすい点です。
おわりに
「子犬のワルツ」の難易度や練習方法を知ることで、正しいステップで無理なく上達が目指せます。
初心者にとってはやや難しい課題曲ですが、繰り返しの練習によって確かな技術力と表現力を磨ける名曲です。
ゆっくり弾ける速さから始めて、通せるようになったら少しずつ上げる。この積み重ねが、遠回りに見えていちばん確実です。自分のペースで、楽しみながらチャレンジしてみましょう!
楽譜をダウンロードしたら
弾く鍵盤をお持ちでない方へ

楽譜を用意しても、すぐに音を出せる環境がないと練習は続きません。これから1台目を選ぶなら、76鍵が現実的です。61鍵では中級以上のアレンジで音域が足りなくなり、88鍵は置き場所と予算のハードルが上がります。
鍵盤数の選び方はこちらの記事で詳しく解説しています。
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基礎から上達したい方へ
好きな曲を1曲ずつ仕上げるのも楽しいですが、教本を1冊通して進めると、弾ける曲の幅が一気に広がります。バイエル・ブルグミュラー・ハノンなど主要7教本の特徴と、どの順番で進めるべきかをまとめています。
